「福音の広がり方」(2018年11月4日週報巻頭言 牧師 藤井秀一)

元外交官で作家の佐藤優氏といえば、どの書店でも沢山の書籍が平積みされる著名な知識人です。その彼が「神学の思考」という著書の最後の方でこう書いています。

 

「私の著作は、例外なく、キリスト教について伝えています。一般読者でそのことに気づく人がときどきいます。しかし、キリスト教徒は、私が明示的にキリスト教や宗教をテーマにした作品以外はキリスト教と関係ないと思っています。・・・・」

「私は、自分の仕事は、伝統的なキリスト教徒ではなく、日本で圧倒的大多数を占める世俗的な非キリスト教徒を対象に、イエス・キリストは救いであるということを語っていくことだと思っています・・・」

 

また首都大学東京の社会学教授で、TBSラジオのデイキャッチの金曜日のコメンテーターをしている宮台真司氏は本田哲朗神父との対談のなかでこう語っています。「僕は他の宗教の教団組織でも話をすることがよくありますが、キリスト者としてというよりも、神父さまが福音とおっしゃっているような部分、つまり僕に響いているものを話すことを心がけています。さもないと、話を受け入れてもらえません」「そのようにさせていただいているものの、僕が信徒だということは、じわじわとバレてきているようです。まあ当たり前ですけどね」(「福音の実り」P.78)

クリスチャンである佐藤氏も宮台氏も、実はその生き方、活動そのものが、この世俗的な時代に届く言葉でイエスキリストの福音を伝えることであったことを知ります。また、わたしたちのバプテスト連盟からルワンダに派遣されている佐々木和之氏が、憎み合う民族の間に立ち和解の働きをしているのも、単なる平和活動でも人間愛を伝えるためでもなく、死から復活したイエスを信じるゆえの生き方として、出て行って和解の福音に仕えています。

 

そのように福音とは、教会の中で牧師だけが語れる秘密の教えではありません。むしろ礼拝が終わったあと、教会から出て行ったその先の現場で、礼拝で聞こえてきた主イエスの言葉に生きつづける人々によって、福音はこの世界に広がっていくのです。

「あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい。」(マタイ28:19)

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