2023年5月28日主日礼拝ダイジェスト

「幻を共にみつめて」         藤井 秀一

今日はペンテコステの礼拝です。十字架と復活、そして召天を経て、弟子たちの目に見えなくなった主イエスは、復活から50日目のペンテコステの日に「聖霊」として弟子たちの上に注がれました。今日の礼拝では、旧約聖書のエゼキエル書と使徒言行録の物語から、この「神の霊」「聖霊」の働きによる、新たないのちの躍動について共に思いめぐらせたいと思います。
エゼキエルが見た「枯れた骨の復活」の幻の背景には、バビロン捕囚によってイスラエルの民が絶望的な状況に追いやられていた状況があります。まさに枯れた骨のように朽ち果てていたその民のただなかで、「この骨は生き返るか」と問う神の問いに対し「あなたのみがご存じです」と答えたエゼキエルの信仰を通して、その骨に神の霊が吹き込まれ、枯れた骨は生き返り、新たないのちが与えられる「幻」の物語です

またペンテコステの日にイエスの弟子たちの上に「神の霊」「聖霊」が降ると、彼らは古い自分の生き方から、新しい生き方へと生まれ変わっていきます。彼らはそれまでは決して共に生きようとしなかった、異なる国籍や言語を持つ人々と共に集まり、新しい共同体である教会を形成していくのです。このように「神の霊」「聖霊」は、枯れ果てた骨や絶望した心を生かし、愛と和解の力によって人々を変えていく神のいのちなのです。
さて、聖霊が弟子たちに降った出来事を、預言者ヨエルはこう預言しています。
「わたしはすべての人にわが霊を注ぐ。あなたたちの息子や娘は預言し、老人は夢を見、若者は幻をみる」(ヨエル3:1)

現在、多くの教会が高齢化や将来の存続に悩みを抱えています。目の前の厳しい現実に苦悩し、未来についてのビジョンを見失ってしまったかのようです。しかし希望はあります。厳しい状況にあっても、神の霊が注がれるなら、わたしたちは常に新たな「夢」「幻」「ビジョン」を見ることができるのです。
約2000年前に注がれた聖霊は、今日も信じる者一人ひとりの心に新たな命を与え、夢とビジョンを与えてくださる。ゆえにペンテコステとは、神の霊によって示された「幻」を、共に見つめて新しくあゆみだす時でもあるのです。

 

 

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