釜ヶ崎を通して学んだ事 -対等な関係とは-      H.K.兄の証

金持ちと貧乏な人が出会う

主はそのどちらも造られた。

箴言23章18節

私は3月3日~6日の3日間。大阪の釜ヶ崎を中心に活動しているホームレス支援機構を訪問しました。そこで得られた体験と、それを通して私が感じた事を皆さんと共有したいと思います。

まず、釜ヶ崎の簡単な説明をさせて頂きます。釜ヶ崎とは日雇い労働者が集う町の古い名称の事です。現在はこの街の事を釜ヶ崎とは呼ばず、あいりん地区と呼びます。釜ヶ崎には約2万人の日雇い労働者がいます。なぜこれほどまでの人が集まったのか。理由は多々ありますが、釜ヶ崎が日本一の『寄せ場』である事が大きな理由です。『寄せ場』とは日雇い労働者が生活する場所の事を指します。この寄せ場にいれば、日雇い労働を募集している企業の情報を得る事が出来ます。そのため、釜ヶ崎の住人は釜ヶ崎出身ではなく、日本各国から流れ着いてきた人たちがほとんどです。以上が釜ヶ崎の簡単な説明となります。もし興味のある人はぜひ釜ヶ崎を訪れて下さい。

釜ヶ崎を通して、私は一つの気付きを与えられました。それは境遇の違う相手と関係性を持つ上で、私たちはまず何を念頭におくべきか、と言う事です。

気付くきっかけは本田哲郎神父の話でした。本田神父は長年釜ヶ崎でボランティア活動を行っているカトリック教会の牧師です。彼はホームレス支援において、迷っていた事があったそうです。それはホームレスという、私たちとは生活環境において格差がある相手に対して、どの様に関係を構築していったら良いか、という事です。ホームレスは主に二つの問題を抱えています。1つ目は経済困難。生活するに充分なお金がないため、その日のご飯が食べられるか分かりません。2つ目は社会的孤立。ホームレスは社会から堕落者のレッテルを貼られた人たちです。彼らは心に深い傷を負っていて、愛を欲しています。そのため、本田神父は炊き出しや毛布を支給しながら、ホームレスとの関係構築に勤しんでいました。そんなある日、仲良くなったホームレスの方がこんな事を漏らしたそうです。「炊きだしで、ご飯や毛布をもらっている姿は娘には見せられない。」この時本田神父は先ほどの境遇の違う相手との良き関係性を持つ難しさを実感したそうです。何かをしてあげるという行為は相手と対等な立場ではなく、一方的な供給になっていると。

私はこの話を聞いて、自分の事に置き換えました。私はクリスチャンではない友達がたくさんいます。彼らとの関係は本当に気楽なものですが、より強い関係を結ぶ事が出来ていません。その理由が境遇の違いです。クリスチャンである私は彼らにどうしても理解してはもらえない事柄が多々あります。よって、自分の良いところも、弱さも受け入れた強い関係を結ぶ事が出来ません。どうしても私が一線引いてしまうのです。理解してもらえないのではないか、拒絶されるのではないか。そのような考えが頭に巡り、結局、私は他の人にあわせて生活していました。

本田神父は詩編の一節から対等な関係性を持つための気付きを与えて下さいました。「谷はすべて身を起こし、山と丘は身を引くせよ。」強いものが降りていき、弱いものは昇っていく。フラットな状態になった時、始めて二人は出会う事が出来るのです。この箇所を私の状況と当てはめるとどうなるのでしょう。キリスト教という概念を私は持っていて、友達は持っていない。彼らと同じ目線に立つためには、彼らにもある程度のキリスト教の理解を求める必要がある。そうする事で私たちはやっと同じの立場で話す事が出来るのです。今までは、私がキリスト教の理解を求めず、相手にあわせていました。もし、その人と長く付き合いたいのなら、良き関係を築きたいのなら、キリスト教を知ってもらう努力を行う必要があるでしょう。

小さい頃、友達とお泊まり会をしていました。お泊まり会は学校がない土曜日に行う事が基本だったので、私の家に泊まりにきた友達は次の日、教会に連れて行くというのがルールでした。その友達は何回か教会に連れて行ったため、教会に興味を持ってくれて、自分から教会に通う様になってくれました。中学を卒業と同時に教会も変わり、現在彼は教会に通っていませんが、キリスト者としての自分を良く理解してくれて、今でも良き友達として交流があります。

同じ目線で、共に神に造られたものとして理解しあう。私は釜ヶ崎を通して、境遇の違う相手と関係性を持つために必要な気付きを与えられました。この気付きを与えて下さった神様とそれを支援して下さった花小金井の皆さんに感謝します。

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