「歓声と罵声のなか、ただまっすぐに」(2月28日週報巻頭言)
25日、アメリカ軍がシリアでイランを後ろ盾とする民兵組織が使う拠点を空爆したことが報道されました。
空爆の理由は、アメリカの施設への攻撃への対抗措置であると主張されています。
火種がこれ以上大きくならないことを切に祈ります。
戦前、クリスチャンの新渡戸稲造は、戦争に突き進んでいく軍部への鐘を鳴らしたため、軍部やメディアから非難された人でした。
彼は「柳条溝事件」(謀略により南満州鉄道の線路が爆破された事件)が起こった次の日にも、下記の文を書いています。
「個人であれ国家であれ,宣伝すなわち口先の言葉によって,正しい事を誤りと証明し,誤りを正しいと証明することができると思うなら,それは大まちがいである。
宣伝はしばしば,黒をしばらく白と見えさせる力をもっていることが多い。しかし,現実と真実は断固たる真理であって,これは,雄弁によってどれほど損われ、あいまいにされようと,どんな言葉も永遠にこれを変えることはできない。
子供じみたごまかしにふけって,市民も政府も,相手を悪業悪意ありと非難攻撃している。どちらの側も,ウサンくさい証人を呼び出し,どちらも熱烈な口調をつかっている。こういう場合,偽りを語る一枚の舌は,何百万もの人々の心に毒を注ぎ,彼らを破滅の渦巻に投げこむこととなる。
宣伝が愛国心の是認をうけると,虚偽は白昼堂々とまかり通り,大嘘つきであればあるほど,尊敬されることとなる。
忘れぬようにしよう??不十分な根拠をもとに,また偽りの口実をもうけて始められた戦争は少なくないことを。
こんな戦争で勝利をえても,その勝利は,征服する国家の歴史のページに永久に墨をぬるのだ。
偽りと殺戮によって大成長をとげ,歴史の法廷で有罪宣告をうけた国があるではないか,あたかも,征服され卑しめられつつ,世界の評価を高めている国家があるのと同様に」
約2000年前。ろばに乗ってエルサレムに入城するイエス・キリストを取り囲んだ群衆は、「ダビデの子にホサナ」つまり、「敵であるローマ帝国を倒し、救ってくださる王さま。バンザイ」と歓声をあげました。
しかしそのあとすぐ、群衆は手のひらを返し「あの男を十字架につけよ」と罵声を浴びせたのです。
その歓声と罵声のなか、主イエスはただおひとり、十字架に向かう受難の道を、まっすぐに歩み続けるのです。
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