「本当の自由とは」(2018年1月21日週報巻頭言 牧師 藤井秀一)

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プロボクシングの勅使河原(てしがわら)弘晶さんは、中学時代から窃盗や傷害事件を繰り返していたのだそうです。

 
少年院にも2度も入ったことがあります。
 
そんな自分になったのは、自分が悪いのではないと、ずっと思っていたのだそうです。
 
小さい時に両親が離婚。そして義理の母親から虐待を受けるようになりました。
 
その苦しみ、ストレスから非行に走ったのです。
 
「アイツのせいで、俺はこうなったのだ」と
 
そんな彼の生き方を変えたのは、彼が少年院に入っていた時の教官の一言でした。
 
「お前の人生はお前の嫌いな義理の母に決められたってことだな」
 
悔しいけれども、何も言い返せなかったそうです。
 
その一言をきっかけに、彼の生き方は変わっていきます。
 
少年院から出た彼は元世界王者の輪島功一さんのジムを訪ねます。
 
そして猛練習のすえに、昨年の10月に世界ボクシング機構アジア・バシフィック・バンタム級王座に就いたのです。
 
彼は少年院を慰問し、少年たちにこう語りかけるそうです。
 
「起きたことに後から理由を付けるのは、自分自身。マイナスにもプラスにも捉えられる。過去は変えられる」と。
 
もちろん過ぎ去った過去の出来事を変えることなど、できません。
 
彼が言う「過去は変えられる」という意味は、
 
起こった出来事は変えられないが、
 
過去の出来事の「解釈」は、
 
「マイナス」にも「プラス」にも自分がとらえなおせるという意味でしょう。
 
さて同じ「出来事」を経験しても、ある人は「感謝」し、ある人は「愚痴」ります。
 
自分のその反応を選んでいるのは、「相手」のせいでも「出来事」のせいでもなく、実は「自分自身」であることに、あらためて気づかされます。
 
福音を伝えたパウロとシラスは迫害を受け、鞭打たれ足枷をされたうえで、投獄されました。
 
自由を奪われたその獄中で、なんと彼らは神への賛美を歌ったのです。
 
なんという心の自由でしょう。

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