2024年2月18日主日礼拝ダイジェスト

週報巻頭言
「レント(受難節)と自己吟味」
藤井 秀一
 先週の水曜日より、私たちは教会暦におけるレント(受難節)の期間を迎えました。この時期は、灰の水曜日に始まり、日曜日を除く40日間続きます。日曜日は主の復活を記念する祝祭日であるため、この期間からは除外されます。この40日間という期間は、イスラエルの民の過越しと、主イエスの断食と祈りの40日間にその起源を持ちます。伝統的に、多くの教派では、このレントの期間を自己省察、悔い改め、断食、そして祈りを深める時として過ごすことを奨励しています。
 レントの伝統は、初期キリスト教会にその起源を持ち、4世紀の教会文書にはすでにこの慣習が見られます。この時期は、新しい信者が洗礼を受ける準備として、霊的な訓練に専念する時でもありました。現代においても、レントの期間中に何かを断ち切り、信仰や霊的生活を見つめ直し、内面の平和や神の愛と恵みをより深く理解しようと努める人々がいます。また、社会正義や平和のために、また貧困や苦しみを抱える人々に思いを馳せて祈る時間としても過ごされる方々がいます。さらに、2011年以降、レント期間中の3月11日は、東日本大震災の記憶と共に、私たち人間の苦しみに共感し、慰めをもたらす主イエスキリストへの祈りの日として覚えられています。
さて今日の礼拝で私たちは、十字架への道を決意しつつ、エルサレムへと向かわれる主イエス・キリストの姿を深く心に刻みます。力を求め、”ホサナ(救ってください)”と叫びながら熱狂する群衆の中で、人々が期待した「力の象徴」である軍馬ではなく、「弱さの象徴」としての子ろばに乗って入城される主イエスの心のうちを、私たちはどれほど理解できるのでしょうか。このレントの期間中、私たちは何を心から願い、神様は私たちに何を求めておられるのかを、十字架へと向かう主イエスの姿に目を向けつつ、私たち自身の心に問いかけてみたいのです。

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