体験談

真夏の出来事

私は七月に頸椎性脊髄省・頸椎後縦靭帯骨化症に対する脊柱管拡大手術と腰部背中管狭窄症に対する脊椎固定術を二回に分けてM病院で受けた。
七年間以上腰痛に悩まされ、痛み止めの薬を服用してきたが、今年の六月頃から足と腰の激痛で歩けない状態になった。
神経的痛みは四六時中続き、夜も二時間ごとに目が覚めて熟睡できなかった。

この状態のままだと耐え難い痛みと不眠でストレスがたまり、正常な神経状態でいられなくなるのではないかという不安に襲われるようになり、市内のかかりつけの先生を家族同伴で訪れて、手術する方向で相談した。

先生も同意し、医師や設備、そして看護体制の整っているM病院を紹介してくださった。外来で色々な検査をした上で七月十日に頸椎を手術し、二回目の脊髄と腰椎の手術を七月二十九日にうけた。



いよいよ1回目の手術、緊張して手術室に降りて行くと、入口にステンドグラス風の光の窓があり、確かアメイジンググレイスの曲が流れていて素敵な所へ行くような感じがしたのを覚えている。

執刀医が「これから手術を始めます。」と言われたので「よろしくお願いします。」と応答した。

「これから麻酔薬が入ります。」と言われ、私は主の祈りを唱え始めて「天にましま・・・・・」までは覚えているが、続きは何も記憶していなかった。



気付いた時は、GICU(集中治療室)で担当の看護師さんに見守られていた。点滴や管や測定器に囲まれて、身動き一つできず、一人では何もできない状態だった。

その夜は一睡もできず、傷の痛みとのどの渇きを看護師さんへ、ひたすら訴えていた。

次の日の昼から一般病室に移り、三日目からリハビリが始まった。あんなに痛かった足が痛くないと実感した時は、俄には信じられず、何度も何度も動かしてみた。また前のように痛くなるのではないかと疑ってみたが、全然痛くなく、痛みから解放されていることに新鮮な驚きと感謝の気持ちでいっぱいになった。



入院中は梅雨が長びき雨の日や曇りの日が多かった。



六階の病室から外を眺めても、どんよりとした重そうな雲がたれこめ閉塞感を覚える日が続いていた。ある日、一日だけ雲間からの夕陽に照らされた雲が見られた。

私は今まで見たこともない空の情景にすっかり心を奪われた。雲間をぬって降りて来て、地球に一番近い雲につかまって地上を見ている天使たちがいた。

創世記の天地創造の世界へ強く誘われるような心象風景だった。こんなに素敵な雲を見させてくださったのは、神さまの慰めだった。

教会に行けなくなった期間が長くなり、週報に「入院中」と報告されていたので、心配してくださる方やおたよりをいただいた方、お祈りいただいた方々に感謝感激。藤井牧師と数人の方々が月報や主日礼拝のメッセージを届け、祈ってくださったので、たいへん励まされた。



後追いではあるが、七月の信仰生活を考える月間に、私自身の信仰をふり返り、残された生命ある日々を幼な子のようになって、神様に従っていけるようになりたいと思った。

そして気にとめている御言葉は

第二コリント1:4~「神は、あらゆる苦難に際してわたしたちを慰めてくださるので、わたしたちも神からいただくこの慰めによって、あらゆる苦難の中にある人々を慰めることができます。」

優秀な執刀医と愛を実践している看護師さん達をはじめ家族・友人たちの多くの方々に支えられた日々だった。



現在は、週一回の訪問リハビリと早朝のウォーキングを一時間弱続けている。

H.Nさん「病のとき」(80代前半・女性)