平和を求める言葉

「第三の道 シャローム」(2021年1月31日週報巻頭言)牧師 藤井秀一
私たちが加盟する日本バプテスト連盟から、大虐殺のあったルワンダへ国際ミッションボランティアとして派遣されている、佐々木和之さんのオンライン報告会が、28日に行われました。
最初、エチオピアで農村自立支援活動に従事し、その時訪問したルワンダで紛争の傷跡に触れ、衝撃を受けて、ルワンダの紛争問題と平和構築についてイギリスで学び、2005年から連盟のミッションボランティアとして派遣され、現地のNGOと協力して「癒しと和解」のプロジェクト、2011年からはプロテスタント人文・社会科学(ピアス)の教員として平和学科を設立。平和構築のために働く若者たちの育成をするに至る一連のストーリーを、お話しくださいました。
なかでも、ピアスの若者たちと平和構築に関する議論をしたときのエピソードが、わたしの心に残っています。
佐々木さんが学生たちに、ガンジーやキング牧師の非暴力平和行動を紹介しても、彼らは「独裁国家であるアフリカでは無理だ。殺されてしまう」という。「それでは、武器を持って戦えばいいのか?」「戦えばまた分断が広がるだろう」「戦わないのなら、ただ黙っているのか?」など、問いかけつづけるなかで、彼らは第三の道を見つけていく。
「抑止力による安全保障」ではない第三の道。そこには、多国間による協調、相互の良いコミュニケーション。差別を肯定する価値観そのものを変えていく働きなど、紛争という極限状況を造らないために、今、できることは沢山あるはずだと語る佐々木さんの言葉が、今でも心に響いています。
この忍耐強さ。非暴力にこだわり続ける佐々木さんの強い思いはどこからきているのでしょうか?
旧約聖書のヘブライ語で平和を「シャローム」といいます。「戦争状態ではない」というだけではなく、神と人との平和をもイメージする言葉です。
旧約の預言者が約束したメシアは「平和の君」(イザヤ9:5)でした。そのメシア、非暴力に生き抜いたイエスを信じる佐々木さんにとって、「シャローム」に至る第三の道以外の「平和」はないのです。

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