「いのちをいただく」 2021年9月19日週報巻頭言 牧師 藤井 秀一
「いのちをいただく」(内田美智子)という絵本があります。あらすじはこうです。
<小学3年のしのぶ君のお父さんは、食肉解体の仕事をしています。坂本さんといいます。ある日、1頭の牛が食肉解体センターにトラックで運ばれて来ました。すると、同乗していた10才くらいの女の子が荷台に上がって、牛に話しかけていたのです。
「みいちゃん、ごめんねぇ。みいちゃんが肉にならんとお正月がこんて、じいちゃんのいわすけん。みいちゃんを売らんと、みんながくらせんけん。みいちゃん、ごめんねぇ」といいながら、いっしょうけんめいに、牛の腹をさすっていました。
女の子が悲しんでいる姿を見て、坂本さんは、「あした牛のみいちゃんを肉にすることは出来ないから、仕事を休もうと思っている」と仕事から帰ってしのぶ君に話しました。その夜、しのぶ君はお父さんとおふろに入ったとき、「心のなか(心無い)人がしたら、牛が苦しむけん。やっぱり、お父さんがしてやんなっせ」といいました。
翌朝、しのぶ君はお父さんに、「きょうは行かないけんよ!」といって、学校に向かいました。坂本さんはしぶしぶ仕事に行きます。そして牛舎にいるみいちゃんに、「みいちゃん、ごめんよう。みいちゃんが肉にならんと、みんながこまるけん。じっとしとけよ。うごいたら急所をはずすけん」といいきかせました。
みいちゃんを解く(殺す)時がきました。そのとき、ちっとも動かないみいちゃんの大きな目から涙がこぼれ落ちてきました。坂本さんは牛が泣くのをはじめて見ました。
後日、女の子のじいちゃんが坂本さんにしみじみといいました。「あの肉ばすこしもらってかえって、みんなで食べました。孫は泣いて食べませんでしたが、みいちゃんのおかげで、みんながくらせるぞ。みいちゃんに、ありがとうといって食べてやらな、かわいそかろ?というたら、孫は泣きながら、『みいちゃん、いただきます』『おいしかぁ、おいしかぁ』いうて食べました」・・坂本さんは、もう少しこの仕事を続けようと思いました。・・・・>
ちなみに、この坂本さんは実在の方です。
わたしたちは日々「いのち」をいただくことで生かされています。わたしたちに永遠の命を与えるために十字架に死なれた主イエスも、「わたしは命のパンなのだ」と言われました。
この「いのち」に生かされていることを思いつつ、心を低く、へりくだって、
「わたしたちに必要な糧を今日与えてください」と、主の祈りを祈りたいのです。
https://youtu.be/N-hQGyLigBw