「この時代こそ、出会いと協力の喜びへと」 藤井 秀一
7月は毎年「信仰生活を考える月間」としてその時々に必要なテーマを掲げて、御言葉に聴き礼拝を捧げています。今年は「協力伝道(出会いと協力)」のテーマを掲げて、御言葉に聴き、地域教会との出会いと協力のための祈りを篤くしていきます。
さて、福音書に記されている主イエスの弟子たちの変化の過程は、興味深いものがあります。弟子たちは、最後の晩餐の席上でさえ「自分たちの中で、誰が最も偉いか」と言い争っていたのだとルカの福音書は記します。その理由は、彼らが互いに奉仕を比較しあっては、自分は他の弟子より優れていると主張していたからでしょう。
しかし、主イエスが捕縛され審判を受ける際、弟子たち全員はイエスを見捨てて逃げ去りました。この経験は、彼らのプライドを砕き、自分たちの弱さ、いい加減さを露呈することになりました。彼らはもはや、自分自身を仲間より高く見つもる理由を失ったのです。しかしこの経験を通じて、弟子たちは他の弟子たちをライバルではなく、同じ失敗と不完全さをもつ仲間として見るようになれたのではないでしょうか。彼らはその後、復活のイエスとの出会いを通して、神の赦しを体験し、互いのことを競争相手と見るのではなく、真の意味で共に助け合い、支え合う仲間になっていったのでしょう。
さて人と人とが助け合い、協力すること。また教会と教会が助け合い、協力することは、口で言うほど簡単なことではないのかもしれません。他者を心の中で競争相手と見なし、いつも自分と比べて一喜一憂していたり、それゆえに「助けて」とはなかなか言えないプライドが邪魔をして、助け合ったり、協力しあうことの喜びを、体験できないこともあったことでしょう。それは教会と教会の関係においても起こりうることです。
しかしもしそうであるならば、今、この教会の危機と言われる時代はむしろ、互いのプライドをかなぐり捨てて、弱さも欠けもそのままで繋がり合い、協力していく喜びが、体験できるチャンスなのかもしれません。
https://youtu.be/xPxD9uP7Czg